如月です。
昨今の日本の自動車は軽自動車が流行であります。
排気量の大きな普通自動車は税金も消耗品も高く、庶民には手が出しにくい・・・
その一方で軽自動車は、税金、ランニングコストその他が安い。
そして最近は「ハイトワゴン」タイプの軽自動車が飛ぶように売れています。
そんな中で肩身の狭い思いをするのがコンパクトカー。
同じような車格なら安いほうを選びたい・・・
コンパクトカーに勝機はあるのか。
ここでは軽自動車とコンパクトカー、
それぞれの良し悪しを比較していきたいと思います。
如月フィットHV と如月Parentsのムーヴカスタム。
目次
まず、両車種についておさえていきましょう。
軽自動車とは
※ここでは四輪車を扱います。
軽自動車とされる条件
・全長 3.40 m 以下
・全幅 1.48 m 以下
・全高 2.00 m 以下
・原動機の排気量 660 cc 以下
・乗車定員 4名 以下
・貨物積載量 350 kg 以下
上記の要件を余すことなく満たす四輪車が、通称軽自動車と呼ばれている車種です。
この中で1つでも要件をオーバーすると「小型(普通)自動車」という扱いになります。
つまりコンパクトカー枠。
ですから見た目が日本の軽自動車と変わらないような車格の車もありますが、エンジンの排気量などが大きいと軽自動車の枠から外れます。
軽自動車の特徴
・小柄な車体故に非常に小回りが利く
・税金、保険料、消耗品等維持費が普通車に比べ圧倒的に安い
・昨今ではダウンサイジングターボやハイブリッドシステムなどで、コンパクトカーと遜色ない動力性能を得ている
・一部車種ではコンパクトカーと変わらない居住性も得ている
軽自動車の一番の魅力はなんと言ってもそのランニングコストの安さです。
軽自動車の維持費
自動車税1つみても、一般的なコンパクトカー(1.3Lクラス)の排気量ですと
・年額34,500円
かかりますが、軽自動車は
・年額10,800円
なんと1/3以下の金額です。
この時点で既に2万円のアドバンテージを得ている軽自動車ですが、更に
・エンジンが小さいのでオイル類も普通車と比較して少量で済む
・車格柄タイヤが小さいサイズで済むので必然的に価格も安い
・高速道路通行料金等も「軽四」部類になり割安で走行可能
・軽量な車体故に燃費も良い傾向が強くガソリン代も安い
・(言い方が雑だが)ブレーキ等も安物なので当然交換しても安い
・任意保険料も普通車と比べて安くなりやすい
・車検時の重量税も普通車に比べ安い。法定点検も安い。
等々。
兎にも角にも持ってて金がかかりにくい。
普通車と変わらないのは月額制の月極駐車場くらいなものでしょう。
これも駐車場を借りずに済むのであれば0なので圧倒的なコスパを誇ります。
ハイトワゴンの存在
軽自動車が普通車と唯一ほとんど変わらない車格を維持できるのが車高。
2mまでの高さが許容されています。
縦横は短く作らなくてはなりませんが、高さは出せる。
これを利用して極限まで居住性を高めたのがハイトワゴンです。
・ホンダ N-BOX
・ダイハツ タント
・日産 デイズルークス
・スズキ スペーシア
・三菱 ekスペース
等が該当。
これらハイトワゴンは一昔前の軽自動車とは比べ物にならないくらいの広い車内、居住性で軽自動車の常識を覆しました。
コンパクトカーを買うくらいなら維持費も安いこのハイトワゴンタイプの軽自動車のほうがいい、となるのは自明の理と言えます。
そしてこのN-BOXはかつて同社が販売数頂点に君臨していたコンパクトカー「フィット」の客層を食い合い、現在ではホンダにおける看板車種にまでなっています。
コンパクトカーとは
では散々軽自動車を持ち上げておいてから圧倒的不利な状況でコンパクトカーの解説です。
コンパクトカーとは普通自動車に分類される中でかつ、
・全長 4.20m以下
・全幅 1.70m以下
・全高 2.0m以下
・排気量 2.0L以下
の小型自動車、通称「5ナンバー枠」サイズに該当し、かつ車体形状としてはテールゲートが車端となるハッチバック形状や荷室が高くなっているトールワゴンなどのボディタイプが主流です。
日本においては特に車高も1.6m程度までに収まるものが該当し、全長も4m程度のものがザ・コンパクトカーといえるでしょう。
代表的な車種としては
・ホンダ フィット
等が該当します。(全てハッチバック)
2001年に登場し、コンパクトカーの一時代を風靡したホンダ フィット(2代目)
<画像元:グーネット>
欧州基準で言う「Bセグメント」がこれらの車種に該当。
非常に扱い易く、初心者でもらくらく運転できる他、普通車の中では維持費も安い部類なのでセカンドカー持ちの人の足車として利用されることも。
誰でも運転し易いという面から社用車、公用車として用いられる例もあります。
コンパクトカーの特徴
・運転が楽で扱い易い
・維持費が比較的安い
・軽量な車体で燃費も良い
両者比較
では両者の良さを踏まえたうえで、比較してみましょう。
①維持費:軽自動車の勝利
維持費は先ほどの通り、税金1つとっても軽自動車の圧勝です。
コンパクトカーで軽自動車以下の維持費にすることは不可能と言えます。
むしろそれが軽自動車最大のアドバンテージです。
軽自動車の税金類
・自動車税:10,800円
・重量税(車検時):8,800円(最大)
・自賠責保険(車検時):25,070円
合計:44,670円
コンパクトカーの税金類
・自動車税:34,500円(1.0~1.5L迄)
・重量税(車検時):24,600円(1t~1.5t迄)
・自賠責(車検時):25,830円
合計:84,930円
ただし、軽自動車で注意したいのがエンジンオイル等のメンテナンス。
小さいエンジンで少ないオイル量で動く。
しかし車格は下手をするとコンパクトカーと変わらない。
つまりエンジンに大きな負荷が掛かりやすいのです。
高速道路を多用するというなら尚のこと。
エンジンオイル等、メンテナンス頻度はコンパクトカーに比べて増える傾向にありますので注意です。
ノンターボ車でも4,000km走ったらエンジンオイルは交換したほうが良いでしょう。
ターボ車であればその倍、2,000kmを見ていた方が将来的に車の寿命に直結します。
実際、私の友人がかつて乗っていた軽ターボはタービンブローで2年ほどで廃車になっています。交換頻度が増えると最終的にコンパクトカーとメンテナンス費用が変わらない、なんて事態にもなり得ますから注意が必要です。
②取り回し:軽自動車の勝利
こちらも車格の小ささ故に軽自動車の圧勝です。
普通車であれば曲がりきれないような場面でも小さな車体は曲がることができます。
狭い道での行き違いでも苦労することはないでしょう。
ボンネットの先も見やすくギリギリまで寄せても分かりやすいため、狭い場所でも切り返しが容易です。
コンパクトカーも文字通りコンパクトですから狭い道に強いですが、さすがに全幅1.48mの軽自動車の小回りには敵いません。
③走行性能:コンパクトカーの勝利
軽自動車は排気量が660ccまでと決められており、最大馬力も64馬力までと決まっています。そのため排気量が1,000ccを超える普通車であるコンパクトカーには走行性能では劣ってしまいます。特に高速走行時ほど軽自動車はエンジンを回してパワーを稼ぐ必要がありますが、静粛性に欠け前途のようにエンジンオイル等も劣化が早くなります。
対するコンパクトカーは主流である1,300ccにもなれば排気量は軽自動車の2倍。
エンジンパワーも100馬力を超えてくるものが大半ですので、エンジン回転が低くでき静粛性や再加速、合流時の余裕等、軽自動車とはかなりの差が出ます。
町乗りにおいても特に発進時はアクセルを踏み込む量が目に見えて変わってきます。ノンターボの軽自動車ではそれなりに踏み込まないと加速も鈍いです。
そして車幅の問題で横方向に対する力にコンパクトカーは強い。
軽自動車では横風や横Gで横転しかけるような状況でも、コンパクトカーであれば大丈夫というケースが大半です。(トールワゴンタイプを除く)
ただし両者に共通している点があります。
それは、長距離(3時間以上のドライブ等)になると疲れやすいという点です。
軽自動車は排気量とパワーの無さから。
コンパクトカーはコストダウンのため足回りが簡素で路面の凸凹を拾いやすいから。
そういう面では両者は似たもの同士、
使い勝手も街乗りメインが適しているという訳です。
④乗車人数:コンパクトカーの勝利
法定定員が軽自動車は4名までですがコンパクトカーは5名。リアシートに3名まで乗車することが可能です。
車幅的にも仮に軽自動車で5名乗れたとしても相当無理がある状況になるでしょう。その点ほとんどが5ナンバー枠ギリギリで設計されているコンパクトカーであれば1.7m弱の車幅で車内空間にも余裕が生まれます。
⑤積載:コンパクトカーの勝利
④と同じ理由で積載量もコンパクトカーが圧倒的です。トールワゴンタイプの
・スズキ ソリオ
・トヨタ ルーミー/タンク
・ホンダ フリード
等であれば、ハイトワゴンタイプの軽自動車と変わらない車高を確保した上で全長も全幅も上であるコンパクトカーは想像以上の積載を誇ります。
「スズキ:ソリオ」
トールワゴンタイプのコンパクトカーです。
<画像元:スズキ>
⑥安全性:コンパクトカーの勝利
万一事故を起こした際の安全性としてもコンパクトカーは普通車ですから、衝撃を吸収してくれる範囲が広いという意味でも普通車の車格が機能します。
一方の軽自動車は居住空間とトレードオフで乗員保護の為のエリアがとても小さい。
軽自動車とトラックが衝突。軽自動車の乗員死亡
というニュースは1度は聞いたことがあるかと思います。
「別名:走る棺桶」のレッテルを貼られている通り、軽自動車は万一の事故の際に乗員の保護と言う観点では小さな車格が災いし、どれだけ技術が進歩しても物理的な問題で普通車であるコンパクトカーには劣ってしまいます。
番外編:中古購入する場合→コンパクトカー有利!
車両初期費用は車を買う上で一番気になるポイントです。
この場合、新車か中古かで選択肢がありますが、中古の場合はほとんどのケースでコンパクトカーのほうが良程度で格安なものが手に入り易いです。
量販モデルほど中古市場の弾数が多く低価格になるからです。
需給バランスの問題ですね。
軽自動車は選ばなければ格安モデルもありますが、コンパクトカーに引けをとらないハイトワゴンを狙おうとすると割高になるケースがほとんどであり、
新車価格もハイトワゴンとコンパクトカーでは大差ない場合があります。
例としてホンダ N-BOXとホンダ フィットを比較してみます。
N-BOXは型落ちが少なく人気の高いハイトワゴンであることから中古でも価格が下がらない一方、フィットは現行新型が発表販売されたこともあり、2代目GE型であれば既に2世代型落ちということもあって、低走行で状態良好な個体でも~50万円程度で乗り出し可能なことがあります。
参考
カーセンサーでフィットハイブリッド(GP型)とN-BOXを比較してみました。
確かに年式と言う大きな壁がありますが、2010年代以後の中古車は中古だからと言って特別なにか故障がしたりですとか不具合があるということはありません。
あくまでも個体差です。
ちゃんとした個体を選べば多少古くても問題は全くありませんよ。
※如月のセカンドカーであるフィットハイブリッド(GP1)もかれこれ10年落ちですが、毎日通勤で40km、月間1,000km近く走っていますがこれと言ってトラブルは起きていません。
ご覧のとおり、本来ならば高いハズの普通車であるフィットハイブリッドが平均価格50万円程度で売りに出ているのに対し、
安いハズの軽自動車であるN-BOXは平均価格がなんと150万円を超えています。
軽ハイトワゴンはニーズが高いためこのように値崩れしない状況が生まれているんです。
いくら税金が安いからとはいえ、100万円の差を税金だけで埋められるでしょうか。
ましてや比較対象はハイブリッドカーです。燃費だってリッター20は堅い。
確かに軽自動車に比べればコンパクトカーは維持費は少しばかり高いですが、それでも安い方です。初期費用でここまで差がついてしまっては一概に軽自動車=お得、とは言い切れませんよね。
購入後の使用用途にもよりますが、先述の通り長距離乗ったり使用頻度が高いのであれば中古のコンパクトカーを選んだほうが総合的には安くなる可能性も十分あります。
状況次第じゃ新車を買ってもメンテ等で逆転する可能性もあります。
一概に軽自動車のほうが安いという固定観念で車を選ぶのはやめたほうが無難です。
ということで番外編として中古で型落ちを狙う場合は全く別現象が起きるというお話でした。
中古車選びの際は車に詳しい人を連れて行くのが良いでしょう。
それか、正規ディーラーの認定中古車を選ぶとか。
素人判断でオークション等の数万円で買えるクルマを落札するのは超リスキーですのでお勧めしません。
まとめ:軽自動車 vs コンパクトカー
軽自動車とコンパクトカーを多方面から比較してみました。
結論としては「用途による」というケースバイケースな回答になってしまうのですが、一概に言えないのが正解なんです。
例えば軽自動車も、
ハイトワゴンなんか要らない、
私は[ダイハツミラ(L700)]が欲しいんだ!
<画像元:U-CATCH>
ミラとかHA12型のアルトとかはザ・軽自動車って感じで私は好きです(笑)
ってなればまた話はがらりと変わってきます。
用途も近場への通勤ですとか、買い物等のチョイノリオンリーとかであれば中古の型落ち軽自動車に勝るコスパを誇る四輪車は無いでしょう。
ですから一重に正解はありません。
比較したのはそういう意味もあって、です。
極端な結論を付けるのであれば、
軽自動車は維持費が安い代わりに走行性能が犠牲になっている。
万一の事故時も負傷しやすい。
ハイトワゴンは人気だが軽自動車とは思えないくらい車両が高い。
コンパクトカーは軽自動車より高い代わりに走行性能、
居住性、積載量に勝る。普通車故に余裕のある走りが可能だが長距離になると軽自動車同様疲れやすい
といったところでしょう。
それぞれその人に合った車を選ぶのが重要です。
そしてディーラーの営業マンは本来であれば、その顧客ニーズに応えることの出来る一番のクルマを提案してくれるはずです。
ということで少々長くなりましたが以上、
軽自動車とコンパクトカー比較でした。
比較ものは好きですので、
また機会があればこういう記事を書ければと思います。
では本日はこのあたりで。